田辺文学の原点 : 少女時代の作品「十七のころ」
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
田辺聖子が樟蔭女子専門学校時代に書いた「十七のころ」の自筆原稿が発見され全文が公開された。従来、自伝小説『しんこ細工の猿や雉』の中に紹介されて題名だけは知られていたが、所在も全文も不明であった作品である。本論文は「十七のころ」の本文を分析し、後の田辺文学に通じる手法や主題が見いだせることを指摘した。すなわち、田辺聖子の得意とするユーモアに満ちた軽妙洒脱な文体、大阪弁を駆使した巧みな会話による人物形象、田辺聖子が一貫して書き続けた戦後の女性の生き方という主題である。さらに、十七歳で終戦を迎えた体験から、十七歳が田辺聖子にとって特別な意味を持つこと、自伝小説『欲しがりません勝つまでは』の中に描かれた、自らの意思によって真の人生を歩み始める十七歳の少女の原型が、「十七のころ」の主人公であることを指摘した。「十七のころ」は田辺文学の原点と位置づけられる作品であることを論じた。
- 2013-01-31
著者
関連論文
- 文学の「読み方」はあるか : 田辺文学の教材化の試み
- 『新源氏物語』の挑戦 : 和歌の扱いをめぐって
- 『拾遺抄』における人麿歌の増補と編集
- 『拾遺集』における貫之歌 : 『拾遺抄』との比較を中心に
- 『拾遺和歌集』における物名歌
- 西本願寺本『兼盛集』巻末所載の大弐三位の和歌をめぐって
- 『源氏物語』のリライトと和歌
- 『源氏物語』のリライトと和歌
- 田辺聖子と古典文学 : 『新源氏物語』における花散里の形象を中心に
- 安田青風と与謝野晶子 : 付 昭和五年一月一八日、安田喜一郎宛晶子書簡 [(寛筆)]
- 『青年文学 鳳雛』瞥見
- 田辺文学の原点 : 少女時代の作品「十七のころ」