1930〜40年代,福建省における国民政府の統治と地域社会 : 龍巖県での保甲制度・土地整理事業・合作社を中心にして
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概要
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本稿において筆者は,父系同族組織である宗族が比較的発達していたことがその社会的特徴とされる福建省を舞台とし,そうした社会構造が国家権力の地域社会への浸透のあり方をいかに規定したのかを考察する。以上の問題関心に基づき,1920〜30年代初頭に,共産党福建西部根拠地となり,土地革命が実施されていた龍巖県において,同県を再占領した国民政府が,1930〜40年代に実施した行政制度改革に着目する。具体的には,国民政府が実施した保甲制度や合作事業の政策内容を検討すると同時に,それが地域の地縁・血縁結合とどのように関係していたのかを考察する。また土地整理事業については,清代以来の土地所有制度・徴税制度が,政府による政策の執行をいかに規定したのかを論じる。国民政府の地方統治に対し政策史的側面から緻密な検討を加えると同時に,地域の社会構造に着目することにより,その政策執行に内在された諸問題を,浮き彫りにできると考えている。
- 2008-07-25
著者
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