1900〜1920年代東アジアにおける砂糖貿易と台湾糖
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概要
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本稿の目的は,東アジアにおける砂糖貿易を取り上げ,貿易商の活動に焦点を当てながら,日本領有期台湾と東アジアの関係を解明することである。本稿が明らかにしたのは以下の2点てある。第1は,日本植民地下にあった台湾糖業の展開は,東アジア市場の動向に規定されていたということである。第一次大戦期における東アジア市場の変化を受けて,東アジアにおける日本商人の勢力が拡大すると,ジャワ糖が実需を超えて日本へ輸入されるようになり,日本における台湾糖の販売は次第に困難となった。第2は,こうした変化を受けた台湾糖業の対応が,東アジア市場に影響を与えるようになったことである。生産費を低下させるために,台湾糖業は生産量を増大させた。台湾糖供給量の増大は,日本市場の砂糖価格の下落を通じて,日本精製糖の輸出価格を低下させると共に,ジャワ糖需要の低下を通じて,日本へ輸出されるはずであったジャワ糖の一部を他のアジア地域へ投売りさせた。ここからは,台湾糖業の展開が,東アジア市場における砂糖価格の低下を促すことで,砂糖消費の増大に一定の役割を担っていたことを示唆していると言えよう。
- 2007-05-25
著者
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