松くい虫被害跡地における高木性樹種の実態と利用性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
鳥取県東部の松くい虫被害跡地に更新する高木性樹種の生育状況及び幹の形質を調べた。調査地は10m×10mの方形区とし,高さ2m以上の木本及び高木性樹種の稚樹を対象に,尾根及び山腹別にそれぞれ9カ所で行った。出現した樹種の大半はヒサカキ・ソヨゴなどの小高木.低木性広葉樹が大半で,残存するアカマツを除いた高木性樹種はコナラ・サクラ類など落葉広葉樹8種が亜高木層から低木層にかけて多く見受けられた。ha当たりの平均本数は尾根が約500本,山腹が約1,000本であった。しかし,コナラが樹高の高低にかかわらずアカマツとほぼ同齢であり,樹高の低い個体の多くが被圧下にあったことなどから,低木層以下の,稚樹を含む個体の生長は困難で,尾根・山腹とも高木性樹種の密度が低い広葉樹林に移行するものと考えられる。よって,現状ではコナラ・サクラ類等の有用材の成立本数の増加は見込めず,また幹の形質も不良な個体が多かったことからシイタケ原木林・建築用材等としての利用は困難であると考えられる。
- 応用森林学会の論文
- 2000-09-25