日本語学習者の会話に現れるブレイクダウン修復の特徴の記述
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目標言語の能力がまだ十分ではない外国語学習者の会話には、会話のブレイクダウンが多く見られ、その修復の過程には様々な意味の交渉(negotiation of meaning)が現れる。本研究では、日本語学習者同士の対話から会話のブレイクダウンを収集し、proficiencyレベルによってその修復の特徴がどのように異なるかの記述を行なった。分析にあたっては4つのタイプの修復の型を提示し、ブレイクダウンを示す発話の発話者別にプロダクション・データをカウントしその型に分類した。その結果、(1)タイプによっては、初級者或いは中級者にブレイクダウンの出現が偏るものがある、(3)同じタイプに分類されるブレイクダウンでも、proficiencyレベルによって、出現の傾向が量的だけでなく質的に異なるものがある、(3)全体の数量的には中級者がいちばん多くブレイクダウンを引き起こす、(4)修復の過程には様々なインタラクションが見られ、それが言語習得上有効なインプットになりうる、ことがわかった。特に、(3)と(4)の結果から、中級レベルで、意味の交渉が有効なインプットとなるペアワークやグループワークの利用の有効性を支持する結果が出たと言える。
- 日本語教育方法研究会の論文
- 1994-04-02