行政村の政策執行におけるコミュニティの存在形態 : 昭和戦前期の長野県下伊那郡下久堅村を事例に
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概要
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本稿では,昭和戦前期における行政村の政策執行において,コミュニティ,なかでも集落(区会).組合(区会の下位集団)という組織がいかなる局面において機能し,いかなる局面において機能しなかったのかを示す。それは,コミュニティの有効性の範囲を定める作業といえる。まず,長野県下伊那郡下久堅(しもひさかた)村の事例分析を行った。同村の政策執行においてコミュニティは,道路改修における住民の利害を調整し,家々の資産を把握し,村税賦課額を決定するという機能を有した。その一方,村税滞納や経済更生運動といった農家経営それ自体の改変を迫る問題について,コミュニティは機能しなかった。次に,下伊那郡内の行政村における経済更生運動の執行状況を比較した。その結果,(1)「模範村」,(2)「部落連合村」,(3)「難治村」の3つのタイプの行政村が存在し,(1)は行政村,(3)は県が,農家経営それ自体の改変を迫る問題を執行していた。下久堅村は(2)であり,昭和戦前期農村におけるコミュニティの存在形態の在り方,農村統合の在り方は,(1)・(2)・(3)の3パターンに分かれる。
- 2012-08-25
著者
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