不登校生徒をもつ母親の面接過程 接し方を巡る母親の葛藤
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概要
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本論文は、スクールカウンセラーという立場で、不登校に陥った男子中学生A 児の母親に対して、2 年間にわたって母親面接を行った事例を報告する。不登校生徒の保護者へのアプローチを、「保護者の視点」と「子どもの視点」に分けて話を整理していくというアプローチから検討した。本事例の概要は次の通りである。A 児は進行性感音難聴という障碍をもっており、部活の仲間とうまくかかわることができないため、腹痛と頭痛を訴えて登校していなかった。不登校状態に陥ったA 児に対する接し方を巡り、家族成員間に違いがあり、母親は戸惑っていた。「私の接し方が間違っていたのか」という主訴で母親が来談した。筆者は「母親の視点」と「A 児の視点」に分けて話を整理し、母親とA 児の視点の違いによる行動のずれを取り上げた。母親がA 児の主体性に目を向けていない自分に気づくように介入し続けた。母親が面接のあった2 年間の中でA 児のために問題解決の方法を率先して探してあげるよりもA児自身が動くことが大切であると気づいた。母親自身の大きな変化と中学校のある先生からの誘いや養護教諭の努力でA 児は不登校状態から保健室登校状態に変わり、高校へは行かないと言いつつ、最終的に無事高校に進学することができた。本事例から保護者の努力を労いながら、「保護者の視点」と「子どもの視点」に分けて自他の区別をもって子どもに接することを保護者に勧めることが不登校生徒に対する間接的ではあるが、有効な支援であることがわかった。本事例は学校現場の教師、保護者、悩みを抱えている生徒及びスクールカウンセラーの参考のためになると考えて公表した。
- 2009-03-25
著者
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