社会調査教育とデータ・アーカイブ(<特集II>社会調査とデータ・アーカイブ)
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概要
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社会学者の中で「データ・アーカイブ」という言葉が聞かれるようになってから、控えめにいっても、10年は経過した。この間、研究には比較的利用されてきたが、教育への利用はそれほど進んでいない。そこで本報告では、教育に役立つデータ・アーカイブの条件をまず明らかにする。その条件は、以下の4つである。1)大学の専門教育だけでなく、教養教育やできれば高校生でも利用できること、2)データは学生に配布せずにWeb上におき、ダウンロードせずに利用できること、3)無作為抽出された大規模な調査データをもつこと、値の再割り当てなどのデータ変容機能を持ち、コントロール変数の使い方を学ぶために三重クロス表、重回帰分析ができること、そして4)学生はいつでも利用できることである。次にこれらの条件を満たすデータ・アーカイブSRDQとそれを用いた教科書を紹介する。その教科書では、まず優れたデータ分析が含まれる学術研究を読み、教科書の解説によって、その内容をよく理解したうえで、その研究のデータ分析をなぞることが無理なくできるようになっている。さらに、学生にデータ変容の試行錯誤の時間を十分に与え、誰にでもできる分析ではなく、自分にしかできない分析ができて初めて、社会調査のデータ分析に対する興味も湧くのではないかと論じた。最後に、そのような目的に使える教材を、研究者のデータ寄託によってもっと数多く開発していくことが課題であると指摘した。
- 2012-05-26
著者
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