被災地における中小企業の事業存続とネットワーク(震災後の経営とものづくり,統一論題セッション2,ビジネス・モデルのパラダイム・シフト)
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概要
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企業のリスクマネジメントに事業継続計画(BCP)がある。東日本大震災の被災地では、一般に、BCPを有する大企業は早期に事業再開を果たしたが、BCPを有しない中小企業は窮地に立たされた。だが何とか事業を存続させたいと切望する中小企業の経営者は、業態変更や施設賃貸などに活路を見出した。そうした中で、代替生産(OEM)を選択した企業もあった。津波で壊滅的な被害を受けた水産加工会社が、他地域の同業社に生産機能を委託したのだ。かかる方策は被災前の協定に基づくものではなく、震災後の混乱の中で各種の支援機関と連携を図りながら始まった。それゆえ生産開始は震災半年後となったが、OEMによる事業継続策は有効だった。石巻水産業の事例によれば、中小企業が単独でOEM連携を進めることは難しく、マッチング機能などを支援してくれる機関-大学、商工会議所、金融機関-の協力が必要だ。いつ発生しても不思議ではない巨大地震に備えて自治体同士が災害協定を結ぶように、中小企業も迅速な事業再開に向けての準備が必要である。経営資源の乏しい中小企業の場合、同地域および他地域との連携が必要となるが、このBCPには産学官金が積極的に関わらなければならない。
- 2012-06-21
著者
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