オランダの労働市場と雇用政策(<特集>ヨーロッパにおけるフレクシキュリティ)
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概要
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本稿の目的は,オランダの労働市場と雇用政策の主な特徴について,近年の労働市場改革の動向を通して明らかにすることである。オランダの労働市場政策は,伝統的に労使が介入して,労働供給制限策と手厚い社会保障給付を中心に行われるものであった。しかし1980年代後半にその方針は,積極的労働市場政策を導入する方向へと転換され,さらに1990年代以降新自由主義的な視点を盛り込んだ「アクティベーション」政策として,社会保障給付の引き締め策と一体化した労働市場への復帰支援策が展開されるようになった。このような文脈から労働市場の「柔軟性」を高め,同時に雇用の「安定性」の確保をめざす「フレキシキュリティ」政策が登場したが,保護される正規労働者と,有期雇用や派遣労働などの「フレキシブル労働者」との間で格差を生み出し,また労働力率の向上の陰で取り残されがちな長期失業者や若年失業者などへの支援策にも課題を残している。
- 2011-10-20
著者
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