オープンアプローチによる学習指導と評価に関する実践的研究 : 小学校算数を中心に
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概要
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オープンアプローチは,(1)解き方いろいろ,(2)答えいろいろ,(3)問題いろいろ,と多様性を含んだ問題(オープンな問題)にアプローチすることを意味する.オープンアプローチによる学習指導とは,児童がオープンな問題にアプローチし,得られた多様な答えを活かしながら,授業の目標や児童の興味関心に沿った学習を展開する学習指導である.長年にわたる実践研究の結果,この学習指導は,数量や図形等の概念形成に優れていること,思考力・表現力が培われること,関心・意欲・態度によりよい変容が見られること等,算数独自の「よさ」が徐々に見えてきた. 本紀要では,オープンアプローチに関する先行研究の成果と課題を明らかにし,この学習指導を日常的に可能にする視点から,過去十数年の実践データを分析・総合し,学習指導過程の共有化・客観化を試みた.その結果,1 つの単元を見通した学習指導設計モデルを構築している.また,この研究からオープンアプローチの学習指導の再定義を試みている.さらに,オープンな問題を児童に「いかにアプローチさせていくか(発散的思考)」,児童が見つけた多様な答えを「どのように算数的・数学的に意味のある方向にまとめさせていくか(収束的思考)」という教授方略も明らかにしている.
- 2012-12-30