堆肥等有機物を利用した土壌病害の防除(有機農業における微生物の役割,公開シンポジウム)
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概要
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堆肥の病害抑制効果を検証するため,複数の有機物に種々の微生物を混合して堆肥化された市販有機質資材を供試し,ホウレンソウ萎凋病に対する病害抑止効果とその機構について検討した。その結果,病害抑止効果を得るためには,資材施用量が3〜5t/10a,施用後栽培開始まで3〜4週間の放置期間が必要であること,病害抑止効果は資材に含まれる微生物よりもその施用に伴って活性化した土着微生物の作用によること,資材施用土壌で栽培した植物の根圏では細菌群集構造が多様化していること,病原菌の密度は資材施用により急激には減少しないが厚壁胞子の発芽が抑制されるなどの知見を得た。一方,鶏糞や小麦フスマ,廃オガクズ菌床,コーヒー粕などを素材にした堆肥を上記市販資材と同様に施用した場合,発病抑止効果は単一素材の堆肥より混合堆肥においてより高かった。また土壌中の微生物活性も堆肥施用区で増加し,その程度は混合堆肥区が最も高かった。以上の結果より,高い発病抑止性を得るためには,種々の有機質を素材にした複合堆肥あるいは素材の異なる堆肥を組み合わせた混合堆肥を用い,土着微生物の活性化・多様化を図ることが有効であると考察した。
- 2007-09-01
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