青枯病菌Ralstonia solanacearumのクオルモンによる病原性発現(生物多様性の中の機能ネットワークを探る,シンポジウム)
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概要
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200種以上の広い宿主範囲を示し,農業上の被害も大きい青枯病菌は難防除で知られ,新たな防除手法の開発が求められている。その一つのアプローチとして,近年,細菌の情報伝達システムとして注目を集めているクオラム・センシングというメカニズムを利用する手法がある。青枯病菌もこのクオラム・センシングのメカニズムを備えており,それにより病原性発現を制御している。青枯病菌のクオラム・センシングを制御するシグナル物質(クオルモン)は特殊な脂肪酸エステル(3-hydroxypalmitic acid methyl ester)であり,これを加水分解すると青枯病菌はシグナルを感知できず,病原性を発現しなくなる。このような病原性発現メカニズムに注目した防除法は,クオルモンの酵素分解,クオルモンの受信を阻害するアンタゴニスト物質の利用,青枯病菌のクオラム・センシングをかく乱するタイプの拮抗菌の利用などの手法が考えられる。他の病原細菌についてこれらの手法の可能性を示唆する報告が出てきており,青枯病菌への応用が今後期待される。
- 2006-10-01
著者
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篠原 信
(独)農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所 野菜ipm研究チーム
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篠原 信
農研機構野菜茶研
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篠原 信
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 野菜IPM研究チーム
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