蛍光性pseudomonadsの根面定着因子に関する生態学的アプローチ(環境と土壌微生物,シンポジウム)

概要

論文の詳細を見る
根面細菌Pseudomonas fluorescens MelRC 2 Rifの根面定着能について検討した。根面定着における菌自体の遺伝的性質の役割として,運動性,抗生物質生産能,不溶性の根分泌物ムシゲルのアナログと考えられるペクチン資化能の根面定着における寄与を求めた。また,根面定着に及ぼす環境要因として,他微生物との相互作用,根への物理的ストレスの影響について検討した。MelRC 2 Rifは根新鮮重1g当たり約10^6cfu,生菌数の約1%のレベルで根面に定着した。MelRC 2 Rifの根面定着を最も大きく規定するのは根面における他微生物との相互作用で,それによりMelRC 2 Rifの潜在的な根面定着能の約9割が損なわれていた。このとき,同種に属するきわめて近縁な菌群との競合が特に激しいと推察された。菌自体の遺伝的性質の中で,(1)抗生物質生産能は根面定着には関与しないこと,(2)運動性は根面での移動には有効であるものの,非根圏土壌から根面への移動に際しての寄与はきわめて小さいこと,(3)根からの不溶性分泌物の資化性が根面への定着に有効であることが推察された。また,土壌の圧密化によって根面微生物相は数・質ともに変化することが明らかにされた。
日本土壌微生物学会の論文
1998-10-01