Rhizoctonia solaniにおける進化と適応(共生・寄生微生物の進化と環境適応,シンポジウム)
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概要
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R. solaniの進化の基本単位と種分化の機構をrDNA-ITSの塩基配列比較から考察した。本菌の菌糸融合群(AG)は「生物学的種」であるとみなされているが,ITS塩基配列の相同性比較から少なくともAG1, AG2-2, AG4の各subgroup (SG),およびAG3のpotatoとtobacco系統株は,進化の実質的な遺伝子流動集団であると考えられた。ITS塩基配列のデータから構築された分子系統樹より,同一AG内のSGは単系統群であり,それぞれ共通した祖先から分化した集団であることが示唆された。また系統樹から菌の生育温度反応の違いは生態的隔離を確立させ,分化の一つの要因となっていることが示唆された。本菌の各個体群の生活の場は,寄主選択性および発病や生存に必要な生育温度反応の違いなどの生物学的属性よってその条件を異にし,自然条件は個体群分化を生じさせる選択的機構の一つの場面を担っているものと推測された。bridging groupは互いに進化的に異なることが示され,菌糸融合の行動は必ずしも系統的な関係を反映しないことが示唆された。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1997-10-01
著者
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