細胞性粘菌の発生分化とその制御因子(微生物の環境適応機構)
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概要
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細胞性粘菌は土壌中に棲息し,土壌細菌などを餌として2分裂で分裂増殖するべん毛を持たないアメーバ状の単細胞性下等真核生物である。rRNAの配列などの研究から,生物進化のごく初期に分枝したと考えられている。餌がなくなると増殖することを止めて,形態形成を行ないつつ最終的に胞子と柄の細胞にのみ分化するので,生物の発生分化を研究するための良いモデル系となっている。また,最近では,細胞運動や細胞間認識の研究にも使われはじめている。ここでは,まず,この生物の代表種Dictyostelium discoideum(キイロタマホコリカビ)を中心に,無性生殖過程である子実体形成の過程について概説し,有性生殖過程であるマクロシスト形成過程についても述べた。ついで,発生分化を制御している個々の低分子性の因子について説明し,特に胞子発芽阻害因子であるディスカデニンの生合成経路の研究から,植物ホルモンの一種サイトカイニンの生合成経路が明らかになったことを強調した。最後にこの生物における遺伝子操作技術の現状やプラスミドについて簡単に述べた。
- 1991-02-01
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