Fusarium菌の厚膜胞子の形成および発芽(第16号)
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概要
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Fusarium oxysporum f. raphaniの厚膜胞子の形成および発芽に関与する因子について検討した。1. 厚膜胞子の形成は培地のpHが6前後のときにもっとも多く,4以下または8以上になるといちじるしく減少した。一方,その発芽はpH4〜8の範囲でその影響をほとんど受けなかった。2. 供試菌は厚膜胞子の形成に対してK^+, Mg^<2+>, Mn^<2+>, Ca^<2+>, Fe^<3+>, Cu^<2+>, Zn^<2+>を必要とした。とくにK^+, Mg^<2+>, Mn^<2+>が欠如した場合には厚膜胞子の形成がいちじるしく抑制された。3. 塩類溶液中では接種菌量に比例して厚膜胞子数が増加した。4. 塩類溶液中において厚膜胞子はその濃度が2×10^4個/ml以下では90%以上の発芽率を示したが,10^6個/ml以上になると発芽率は1%以下に低下した。厚膜胞子の濃度が高いときに生じる発芽率の低下は培地にグルコースを添加すると回復した。グルコースの添加効果は0.1mM以上であらわれた。5. 厚膜胞子の形成および発芽はかなり低い酸素分圧の下でも行われるが,窒素ガス気流中ではほぼ完全に抑制された。発芽に対する酸素分圧の影響は培地にグルコースを添加した場合緩和された。6. 厚膜胞子の形成は培地中または菌糸内の炭素源が涸渇したのち行われた。グルコースは菌の生育を助長し,厚膜胞子の形成を抑制した。7. 供試菌の菌糸は炭素源が涸渇した条件下で厚膜胞子の発芽を阻害する揮発性の物質を産生した。炭素源が十分存在する場合には菌糸はこの発芽阻害物質の作用を打ち消す揮発性の物質を産生した。菌糸によるこの発芽阻害作用は発芽試験培地にグルコースを添加すると消失した。8. Fusarium oxysporum f. raphaniの厚膜胞子の形成および発芽に関して論じた。
- 1974-12-15
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