洋上風力発電が海洋生態系におよぼす影響(<特集>風力発電が生態系に与える影響を考える)
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概要
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近年、陸上の建設適地の不足や電力供給の安定性から、大規模な洋上風力発電施設(洋上風発)が世界各地に建設されている。洋上風発は、建設や運用に関して多くの経済的利点を保有している一方で、海洋生物へ様々な影響をおよぼす。洋上風発建設前の探査や掘削により発生する騒音は、魚類や海棲哺乳類の音声コミュニケーションを阻害する。洋上風車の設置は、海洋生物の生息場所を減少させるばかりでなく、局所的な海洋環境を変化させることを通してさまざまな海洋生物の生残や繁殖に影響をもたらす可能性がある。また、洋上の風車と鳥類が衝突する事故は多数確認されている。風車との衝突を避けるために、多くの鳥類が採餌や渡りの際に風車を避けて飛翔する。この風車回避行動は、鳥類の飛翔距離の増加を招き、その分、飛翔エネルギーコストが上昇すると考えられている。今後、より多くの海域や分類群を対象とした長期的な影響評価が必要である。洋上風発が海洋生物におよぼす影響を軽減するためには、多くの鳥類や海棲哺乳類が利用する渡り・回遊ルートや採餌域を避けた建設地の選定、騒音の発生を抑えた工法、渡り・回遊や繁殖の時期や時間帯に配慮した運転などが求められている。
- 2012-05-30
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