災害における要援護者概念の再考 : 「災害弱者」から「災害時要援護者」へのアプローチ
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概要
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本研究では、既存の災害弱者を含め、災害における要援護者はどういう人たちなのかということを明らかにすること、その分類を試みることを主な目的としている。地域には様々な被災しやすい人たちが存在しているが現在の災害弱者は明確な定義や分類が行われていない。先行研究や社会福祉が捉えている災害弱者の成立要因は、(1)自力避難行動が不可能な人、(2)災害認識が欠如している人、(3)経済的条件が劣悪な人の3つであるが、災害における要援護者の対策を講じていくためには、よりきめの細かい分類が求められる。ここで、本研究では災害前から災害後、応急期、復旧・復興期という時間軸に沿って、災害における要援護者の分類を試みている。災害時要援護者があらわれる主な要因としては2点があげられ、1つ目は、社会構造すなわち社会が持っている脆弱性によるものであり、もう1つは個々人が持っている機能的な問題である。本研究で行なった分類によると、災害時要援護者は多様に存在していることが明らかになり、地域福祉と防災におけるより柔軟な対策が求められる。
- 一般社団法人日本福祉のまちづくり学会の論文
- 2006-07-15