都市近郊林の減少圧分布と保全手法に関する研究
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概要
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都市近郊林は安全で快適な都市環境を維持するうえで不可欠となっているが,都市開発にともないその減少は不可避である。そのため都市近郊林保全のための有効な手法の確立が必要となっている。都市における森林は人口密度の増加にともない指数関数的に減少するが,その傾向は地域の自然条件と社会経済的諸条件によって異なり,地域固有の傾向がある。日本でも都市化の進行が著しい大阪府の34自治体について,過去25年間の森林減少経過から人口10%の増加を想定した場合の森林減少率を予測した。その結果,減少率最大のものは73%で,50%を超えるものは4自治体あった。他方で,減少率O%の自治体もあり,5%未満は10自治体であった。このように都市近郊林は地域固有の減少傾向を有しているので,保全にあたっては予想減少率に対応した手法を採用することが必要である。50%を超える極めて減少圧の高い地域に対しては,公有化等の強い規制が緊急に必要であるが,5%に満たない減少圧の低い地域に対しては環境監視等の緩い政策で十分ということができる。一般的に,都市近郊林を保全するためには多くの費用を要するので,このような減少圧に対応した手法を採用することによって,都市近郊林の保全を効果的かつ安いコストで行うことが可能となる。
- 森林計画学会の論文