都市近郊林の減少予測と保全計画
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概要
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都市近郊林は,都市におけるアメニティーには欠かせない存在である。しかし,林地価格の高騰等のため都市近郊林の減少は不可避的になっている。本研究は,都市近郊林の減少の特徴と森林保全計画を樹立する場合の一つの考え方を提示したものである。地域面積をS,人口をN,森林面積をFとすると,人口一人当りの森林面積(F/N)は人口密度(N/S)と次の式のような関係にあった。(F/N)=a・exp(p(N/S))………(1)大阪府44自治体の1990年のデータからパラメータa,pを求めると,a=11,022p=-0.00429が得られ,決定係数はr^2=0.973となった。この(1)式を使って大阪府高槻市の25年間の人口と森林面積の推移を求めると,a=833.50,p=-0.000556,γ^2=0.973となった。高槻市は2000年の人口を40万人と予定しているので,(1)式から2000年の森林面積を推定すると,森林は955ha減少する。次に,一人当りの森林面積(F/N)は,市民の森林満足度(DFA)とは次のようなMITSCHERLICH式の関係にあった。DFA=100(1-exp(a(F/N)))……(2)高槻市は1985年に6小学校区の緑量と住民の緑満足度を調べているので,これを使うと,(2)式はα=-0.024となり,γ^2=0.845となった。一般的に,住民一人当り森林面積が減少すると住民の森林満足度は低下する。高槻市を例に2000年の人口を40万人として,森林満足度を落とさないとすると556haの森林を増やす必要があるとなった。
- 森林計画学会の論文