森林管理のための合意形成と課題(<特集2>合意形成-森林計画はいかにして地域社会に認知されるか-)
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概要
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森林計画制度は,昭和49年の森林法改正によって,森林の自然環境を経済社会の発展及び国民の福祉の向上に役立てることを狙いとする誘導的なものに性格的に変化した。その結果,森林計画の樹立段階で関係者の合意を得ること,また樹立された計画を実践するために森林所有者や関係受益者の協力を得る上での合意形成が従来以上に重要となっている。前者については合意形成のための手続きが6段階にわたって法定されている。後者については,行政当局が森林の整備目標を達成するための措置を講じて森林所有者を誘導する場合が一般的である。その措置は一種の調停案としての性格を有しており,それによって政治的交換による合意形成が進められる。その調停案は一般に(i)財政的援助,(ii)受益主体による森林管理,(iii)受益者が協力して森林整備を図るための地域協定,(iv)森林所有者相互の地域協定,(V)ボランティア等である。本稿ではそれら夫々について現状と問題点を指摘した。最後に合意形成に関わる今日的課題として(i)林業を補完する調停手法が林業の低迷によって効きにくくなっていること,(ii)多様的な合意形成手段を制度化し合意形成を推進しやすく且つ結ばれた合意内容を保全すること,及び(iii)森林の外部経済部分を内部化するための制度的研究の必要性を指摘した。
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