一心太助は朝日を背に日本橋を渡る -『家光と彦左と一心太助』 (1961)の背景にあるもの-
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概要
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日本の時代劇は、スター俳優を魅力的に見せるために、主演俳優が一人二役で演じるという伝統があった。沢島忠監督作品『家光と彦左と一心太助』(1961)もその伝統に従ったものだ。伝統的に、両方の人物が似ているということは 劇中言及されることはなかったが、この映画はその習慣を破る。家光にとって御意見番である大久保彦左衛門は、家光をめぐる陰謀を回避するために、そっくりな一心太助(どちらも中村金之助が演じる)と入れ替わることを提案する。この規則破りは、名脚本家、小國英雄による考案だが、ある意味、古きよき時代劇の終わりを象徴しているとも言える。 というのも、同じ1961年、黒澤明監督の画期的な『用心棒』が公開されたからである。
- 2012-03-31
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