抽出温度が希水酸化ナトリウム抽出腐植の特性に及ぼす影響(3) : 室温抽出残渣から逐次加熱される腐植の特性

概要

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土壌の0.5%NaOH可溶腐植のうち室温抽出残渣から逐次加熱抽出される腐植,すなわち加熱して初めて抽出された腐植画分について検討した。1. 室温抽出腐植量と逐次加熱腐植量の合量は単独の加熱抽出量に相当した。逐次加熱抽出腐植は黒ボク土では少なく0.5%NaOH可溶腐植の30%以下であったが,他の土壌型には多く含まれ約50%を占めた。2. 逐次加熱抽出腐植酸は室温抽出腐植酸よりも腐植化度が低く,特にR 値は平均して30%(9〜40%)低かった。また,FT-IRスペクトルでは逐次加熱抽出腐植酸には2920, 2850cm^<-1>の脂肪族-CHに帰属される強い明瞭な吸収が特徴的に認められ,加熱して初めて抽出された腐植酸と室温条件でも抽出された腐植酸は異なる化学構造あるいは組成を有することが示唆された。3. 加熱抽出腐植酸の光学特性は室温抽出加熱物と逐次加熱抽出画分の腐植酸の量及びそれぞれの光学特性で定量的に説明され,黒色の色調が弱い逐次加熱抽出腐植酸が多量に抽出されるほど,加熱抽出腐植酸全体の黒色の色調が弱められた。
日本ペドロジー学会の論文
1995-06-30