関係性攻撃幼児の共感性と道徳的判断,社会的情報処理過程の発達研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,関係性攻撃を行う幼児の共感性と道徳的判断及び社会的情報処理について検討することである。調査協力者は,幼稚園年長児(男児16名,女児18名),年中児(男児18名,女児24名),年少児(男児13名,女児12名)の計101名とその担任保育者4名であった。幼児の関係性攻撃の程度を測定するために幼児の社会的行動教師評定尺度(Preshool Social Behavior Scale-Teacher Form)の関係性攻撃に関する5項目を利用した。尺度測定は保育者評定によって実施し,関係性攻撃上位30%の高群(n=35)と,下位30%の低群(n=40)を抽出した。Lemerise & Arsenio(2000)及びArsenio & Lemerise(2004)の社会的情報処理モデルを参考に幼児の社会的情報処理過程及び道徳的判断,共感性について測定するための質問を考案して実施した。関係性攻撃高群と低群の共感性及び道徳的判断,社会的情報処理過程を検討した結果,関係性攻撃を行う幼児は関係性攻撃を行わない幼児よりも,共感性の中でも相手の感情を推測する得点が高く,状況によらず攻撃は悪いと判断していることが明らかとなった。それゆえ,この結果は,関係性攻撃を多く行う幼児の社会的能力が高いことを示唆するものである。
- 2012-03-20
著者
関連論文
- 共感を基礎とした社会性発達の検討 : 思いやり,攻撃,友情(自主シンポジウムA7)
- 仲間とうまく関われない幼児はどのように社会的スキルを学習するか?--日常の保育場面での遊びや保育者との関わりを通して (特集「遊びと学習」)
- 幼児期及び児童期の攻撃行動と仲間関係に関する研究動向
- 発達障害とみられる幼児に関する保育者の気づきと対応
- PF50 「同性友人関係の深さ・広さ」とルールとの関連(社会,ポスター発表F)
- 青年期の友人関係のルールに関する研究(4)
- PC55 現代大学生の友人関係のルールに関する研究
- 関係性攻撃幼児の共感性と道徳的判断,社会的情報処理過程の発達研究
- 高齢者のクラブ活動と生きがい感との関連
- PB060 友人関係のルールに関する研究 : 友人の親密さと行動の適切さの判断について(ポスター発表B,研究発表)
- 青年期の友人関係のルール認知タイプと個人志向性・社会志向性との関連
- 女子青年の友人関係の社会的ルールに関する研究--重要性評価とその理由,及び,相手の親密さと行為遂行の関係
- 社会的ルールの適用に関する探索的研究
- 青年期の友人関係のルールに関する研究 : 親友と友人に関して
- 対人的迷惑行為の迷惑経験、及び、迷惑実行と迷惑認知との関連
- PA083 ヒーローの攻撃って良いこと?悪いこと? : 攻撃タイプと善悪の判断に関する発達的検討(ポスター発表A,研究発表)
- PA017 ヒーローの攻撃はなぜ許される? : 攻撃タイプと許容の程度に関する発達的検討(ポスター発表A,研究発表)
- P2-58 PAC分析による保育士養成課程卒業時の「保育」に対する態度構造(発達,人格,ポスター発表)
- 人間関係のルール : 友人関係に注目して
- PA041 自己愛傾向者の自我同一性に関する研究(ポスター発表A,研究発表)