国有林の「家族生態林場」による請負の実態と問題点 : 中国内モンゴル自治区通遼市の国有林場を事例として
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概要
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中国では,2003年以降,国有林を国有国営から国有民営へと転換する林権(森林に対する権利)制度改革を展開している。本稿では,「家族生態林場」とよばれる請負経営を実施している内モンゴル自治区通遼市の国有林場を調査地に選定し,林場職員が請負主体である個別林家を対象として現地調査を行った。林家による「林下経済」(混農林)と防風林の現状に着眼し,家族生態林場の経営実態を明らかにするとともに,国有林の請負化がもたらす諸問題を検討することを課題とした。明らかになったことは次の諸点である。1)「林下経済」と防風林の兼業経営は請負林地の最大活用に貢献し,請負成立の要因ともなった。2)「林下経済」は内部収益率が低く,利用期間の短期性のために,収入の上で限界がある。3)林家は防風林の造成で将来の木材販売に期待しているものの,その公益性発揮にはほとんど関心をもっていない。4)国有林請負は,防風林造成の達成率が低い,林家の経営規模縮小希望が多いなどの状況がみられ,林場側からの資金,現場指導,労働者育成などの系統的な指導や助成が不可欠なものとなっている。
- 2011-11-01
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