ヴィーラバッダの『アーラーハナーパダーヤー』 : 予備報告
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概要
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ヴィーラバッダがSamvat 1078年に著したとされる『アーラーハナーパダーヤー』は,ジャイナ教の所謂「アーラーダナー文献」と呼ばれるジャンルに包摂される文献の一つだが,本文献に関する先行研究は,管見の限りでは皆無である.本稿は当該文献の本格的研究の為の予備調査として,主に以下の点を指摘した: (1)『アーラーハナーパダーヤー』全989詩節中,786詩節が空衣派代用聖典の『バガヴァティー・アーラーダナー』と対応し,構成そのものも『バガヴァティー・アーラーダナー』を完壁に踏襲していること (2)白衣派聖典との関係では特に『バッタパリンナー』との対応が顕著であること (3)『バガヴァティー・アーラーダナー』『バッタパリンナー』双方に対応関係が見られる場合,ヴィーラバッダは後者(に近い)読みを示すことが強いこと (4)『アーラーハナーパダーヤー』本文中に,『バガヴァティー・アーラーダナー』を明らかに指すと考えられる記述が登場することから,ヴィーラバッダは『バガヴァティー・アーラーダナー』について知っていた事は恐らく確実であり,そして『アーラーハナーパダーヤー』を作成するにあたって,『バガヴァティー・アーラーダナー』を大々的に利用した可能性もかなり高いと考えられること.以上を指摘した後,具体的に若干の対応事例を列挙し,そこに見られる種々の問題点を議論した.
- 2012-03-25
著者
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