『バガヴァティー・アーラーダナー』における解剖学
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概要
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本稿では,空衣派代用聖典の一つであり,比較的初期の文献と見られる『バガヴァティー・アーラーダナー』(1〜2世紀頃成立)の1021-1029詩節において見られる解剖学的知識を取り上げ,以下の点について議論した.(1)当該経典において解剖学的知識は身体の不浄性を強調する目的で説かれる.一方かかる身体を不浄と観ずること自体は,五大誓戒の一つである性的禁欲と密接に結び付けられ,女性(の身体)の不浄性に基づいて***を制御することが強調される.(2)1021-1029詩節の内容をリスト化し,問題を残す若干の表現について議論した.(3)当該経典が述べる解剖学的知識のリストを,白衣派聖典『タンドゥラヴェーヤーリヤ』,古典インド医学文献『チャラカサンヒター』『スシュルタサンヒター』,法典文献『ヤージュニャヴァルキヤスムリティ』,仏典『ヴィスッディマッガ』,ウパニシャッド『ガルバ・ウパニシャッド』における同様のリストと比較し,一覧として提示した.その比較より,(a)『タンドゥラヴェーヤーリヤ』との数値上の一致は寧ろ部分的であり,一方が他方の唯一のソースであるとは言えないこと.(b)身体諸部分の数に関する限り,『チャラカサンヒター』よりも『スシュルタサンヒター』の伝統に,より近いこと,(c)尿や便等の量に関するリストについては,文献間の相違が大きく,『バガヴァティー・アーラーダナー』の著者は我々には未知のソースを知っていた可能性があること,等を指摘した.
- 2011-03-25
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