重症気管支喘息患者への教育・指導が気道炎症にもたらす効果の検討

概要

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【背景・目的】気管支喘息の基礎病態は慢性気道炎症である.今回我々は,患者教育テキストを用いた教育・指導が,喘息患者の慢性気道炎症に与える効果について,特に重症喘息患者を対象に検討した.【方法】対象は,埼玉医科大学アレルギーセンターに通院中の成人重症気管支喘息患者18名である.患者教育テキストを用いた教育・指導を実施し,その前後での変化をFEV_1,喘息コントロールテスト(Asthma Control Test : ACT),成人喘息QOL調査票(Asthma Health Questionnaire(AHQ)-Japan)で評価した.同様に気道炎症について,誘発喀痰中の炎症細胞比率および各種ケモカイン濃度により評価した.【結果】患者教育・指導前後でFEV_1やACTスコアに変化はなかったが,AHQスコアは改善した.喀痰中好酸球比率は低下したが,喀痰中好中球比率に変化はなく,関連して好中球走化因子であるIL-8あるいは各種CXCR3リガンド濃度についても変化はなかった.【結語】成人重症喘息患者に対する喘息教育・指導は,喘息患者QOLの改善と気道における好酸球性炎症の抑制には部分的に効果を発揮したが,喘息のコントロール状態と好中球性炎症への効果は期待できないと考えられた.
2012-02-28