特別養護老人ホームで「より良い看取り」を実施するための取り組み : 研究者と実践者との協働によるミューチュアル・アクションリサーチ
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概要
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本研究は,東京都区内の1つの特別養護老人ホームで研究者が現場の実践者と協働し,「より良い看取り」の実現に取り組んだ実践研究である.その取り組みに際して,チーム全体に生じた意識的,行動的変化の過程を記述することが本研究の目的である.研究方法は,ロジャーズ-ニューマンの「統一体的かつ変容的なパラダイム」に基づき開発されたミューチュアル・アクションリサーチによる.最初に,職員10〜15人とともに「勉強会」チームを結成し,「勉強会」の逐語録,ケアの反省録,研究者のフィールドノートを解釈学的方法を用いて分析した.チーム全体の意識的,行動的パターンの変化の過程は,【期待と困惑の交錯】【暗中模索】【看取ることの自覚】【仲間意識の芽生え】【参加者個々の内省】【変容】という特徴的な6つの局面をたどる過程であった.それは,「勉強会」チームの自己革新の過程としてとらえられ,その成果として「より良い看取り」が実現した.初期には大きなゆらぎを生じたにもかかわらず,参加者各自が自らのケアのパターンを認識して変容を遂げ,チームはより高い段階の新しい秩序を創り出したと考察された.本研究の成果は,アクションリサーチを始めようとしている人にも,看取りを積極的に始めようとしている施設においても参考になると思われる.
- 2011-11-30
著者
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