継続交渉における初期戦略
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は、継続的関係をベースとした問題解決型交渉を前提に、交渉の初期戦略のモデルを提示することを目的とする。交渉の初期戦略、具体的には交渉をどこから始めるか(交渉のスタートポイント)、複数ある争点をどの順序で提示し検討を始めるか(争点の提示順序)といった交渉初期の進行は、その後の交渉の進捗および結果を大きく左右する。にもかかわらず、日本においてはこれまで、継続交渉における初期戦略について精緻に分析した研究は限られていた。そこで、本稿において、まず、前提とする継続交渉および問題解決型交渉の特徴をあげる。これらの特徴は、事前準備および交渉の初期戦略に随所で影響を及ぼす。つぎに、事前準備における作業内容を7 つのステップに分けたモデルで提示する。その上で、交渉の初期戦略において特に重要な交渉のスタートポイントおよび争点の提示順序について本稿が前提とする継続交渉および信頼関係構築を重視する観点から導き出されるモデルを検討する。最後に、事前準備の内容と交渉の初期戦略に密接な関連性があることを示し、初期戦略の実行には入念な事前準備が不可欠の前提となることを分析的に明らかにする。
- 2012-03-20