EC競争法におけるリベート制度に係る諸問題
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概要
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日本においては、これまでりベート制度に関する競争法上の問題点について、その全体的な整理・分析を試みた研究はほとんどなされてこなかった。これは、(1)忠誠リベート、数量リベート、目標リベートなど、リベートの給付時期や給付基準が多種多様であり、具体的な行為態様を網羅的に検討することが困難な点、(2)リベートを供与する目的も販売促進目的や報奨目的、流通系列化目的など様々であり、その目的・機能・効果を判別することが難しい点、(3)リベートは、他の独占禁止法違反行為の実効性確保の手段として用いられることも多く、日本独占禁止法においては、排他条件付取引(一般指定11項)、差別対価(同3項)など、適用条項が多岐にわたる点などが、理由と考えられる。これに対して、EC競争法においては、リベートは市場支配的地位を有する事業者に対する行為規制の一環として、EC条約82条の適用を受ける代表的な行為のひとつに位置づけられ、事例も多く蓄積され、研究も積極的に行われてきている。そこで、本稿では、先駆的事例・研究の多いEC競争法におけるリベート規制についての全体的な整理・分析を試み、もって日本独占禁止法におけるりベート規制のあり方についての検討材料を提供することを目的としたい。