コミュニケーションプロセスとしての代理意思決定
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概要
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代理意思決定は,意思能力が消失した患者に代わって代理人(その多くは家族)が生命維持治療の選択を行うことである。米国では,アドバンス・ディレクティブ(Advance Directives,事前指示,以下ADs)を採用することが患者の尊重になるとされ,かつて意思能力があった患者の代理意思決定では,ADsを第一選択とする手続きになっている。これは,自律(自己決定)は意思能力がない時点まで拡張されるとする「拡張された自律(autonomy extended)」原則を軸にして,ADsに道徳的権威があるという見解に基づく代理意思決定アプローチである。この見解に批判的な立場として本稿は、ADsを中心にした代理意思決定に批判的な4つの見解を概観し,コミュニケーションプロセスとしての代理意思決定を考察する