古渡路遺跡の中世掘立柱建物について : 架構等の復元とその特徴
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概要
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新潟県村上市の古渡路遺跡は13 世紀から15 世紀に営まれた集落遺跡で、掘立柱建物が92 棟検出された。発掘された掘立柱建物は(1)梁間一間型(2)総柱型(3)複合型(4)不揃いの側柱型(5)方形建物の5 種類に分けられる。梁間一間型は古渡路遺跡で最も多数の建物形式で、規模の大きな主屋建物は下屋を周囲に回す。また馬小屋建物も梁間一間型である。総柱型は梁間一間型よりも上位の住居形式である。複合型は、総柱型と梁間一間型をひとつ屋根に合体したタイプと、梁間一間型2 棟の棟を平行にして平側の軒を接した二棟造のようなタイプの2 種類が発見された。総柱型+梁間一間型の複合型は中世在地有力者の住居と推定され、近畿地方の民家型である摂丹型と平面形態が共通することを明らかにした。さらに、仕口ではなく蔓などによる結束で部材を組むための胴張状柱配置など小規模な付属屋や下屋特有の技法および棟持柱構造、出入口の復元、梁間一間型の梁・束構造、複合型の梁・束と母屋柱を組み合わせた構造の復元を行い、古渡路遺跡中世掘立柱建物の上部構造を推定した。