歴史的建造物を対象にした放射性炭素年代測定の方法
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概要
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歴史的建造物の建築年代はこれまで建築史研究において様式編年の手法を用いて調べられてきた。重要文化財等の文化財指定においても建築物の歴史的評価においても建築年代は重要な建築情報である。編年法は優れた方法であるが,編年の最初の時期設定や調査遺構数が少ない場合などの弱点も存在する。絶対年代によって相対年代法である編年を補う方法として,年輪年代法と放射性炭素年代測定法の紹介を行う。そして放射性炭素年代測定法の原理(<14>^の生成と壊変,生命体の<14>^C取り込み),高精度化をもたらしたAMS(Accelerator Mass Spectrometry)法,暦年較正法と暦年較正曲線(IntCal),ウィグルマッチ法(wiggle-matching)について解説する。放射性炭素年代測定法を建築史研究において使いこなすために,測定対象の選定,測定部再の選定と試料採取の方法,解析グラフの見方を説明し,放射性炭素年代測定法が建築史研究に益する研究方法であることを述べる。