自律訓練法の基本的な技法と工夫されてきた技法(<特集>心身医療の臨床に活かす自律訓練法)
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概要
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筆者は,自律訓練法(autogenic training)のさまざまな疾患への適用とその成功事例や失敗事例,自律訓練法を治療に導入しはじめたごく早期にもなぜドロップアウトが発生するかなどに大きな関心をもってみてきた.そこにはさまざまな研究者や臨床実践家の努力や創意,工夫がある.本稿は,自律訓練法を実践していくうえで,問題となる事項やよく尋ねられる質問の中でも,より正しく認識しておくべき事柄について,また,自律訓練法を実践されておられる指導者には,是非ともこれまでの知見に加えていただきたく願っていることについてまとめていきたい.それらは大きく分けると二つであり,一つは適用上の,もう一つは自律訓練法の実施技法や実施に至る方法である.自律訓練法を適用して効果が出た出ないの発表は枚挙にいとまがないが,どのような自律訓練法を行っていたのか,どのような動機づけで行うに至ったのか,セラピストは何を期待して自律訓練法の適用を考えたのか,問題の改善や軽快をみた今,クライエントは自律訓練法をどのように認識し評価しているかなどが明確でないと,自分の診ているどのタイプのクライエントに有効になるのか,どの部分の指導を工夫したら同様の効果が期待できるようになるかなどが判然としないため,自律訓練法を使ってみたが効果がなかったという単純な否定的意見が出やすいように思われる.実施方法や実践上においては受動的注意集中(passive concentration)に関する指導法や練習技法がこれまで多くが開発されているが,よく用いられている代表的な技法を紹介した.
- 2012-01-01
著者
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