グローバル・スタンダード、コンセンサス標準化と国際分業 : 中国のGSM携帯電話の事例
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概要
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グローバル・スタンダードは、国際的に互換など統一標準のことであり、その形成は各国の産業に大きな影響を与えている。近年、インターネットやDVD、携帯電話に見るように頻繁にグローバルスタンダードが確立するようになってきている。グローバル・スタンダードの形成には、「互換標準に利得を認める」が、「どの標準にするかの選好は異なる」という両性の戦いの問題を解決する協調メカニズムが必要である。特に複雑な製品では、市場プロセスだけで協調を行うデファクト標準化では不十分であることが多く、市場プロセスと非市場プロセスの双方を用いて協調を行うコンセンサス標準化が頻繁に用いられる。コンソーシアムは代表的なコンセンサス標準化である。コンセンサス標準化は複数企業間の協調設計活動であり、完成した標準規格はオープン領域とクローズド領域に二分される傾向が強い。これはコンセンサス標準化が、標準化のリーダー企業の競争戦略を反映しながらも、その他の企業から賛同を得なければならないという二面性を持つことに由来している。オープン領域は新規参入を促進する競争促進的な効果を多く含む一方、クローズド領域は新規参入を阻害する反競争促進的な効果を多く含む。コンセンサス標準がグローバルスタンダードになる過程では、オープン領域に新興国企業が多く参入し競争力を拡大するが、クローズド領域では新規参入が進まず先進国企業の競争力が維持される。つまりコンセンサス標準化を契機として、先進国企業と新興国企業の国際分業が促進されることが理論的枠組みから示唆される。本研究の後半では、この理論的枠組みの妥当性を検討するため、中国へのGSM携帯電話導入の事例に適用を試みた。分析の結果、オープン領域となった端末市場には中国企業の活発な新規参入と市場シェア拡大が見られた一方、クローズド領域である通信設備市場では新規参入が進まず、先進国企業が市場シェアを維持したことが判明した。同時に、端末市場の拡大に伴って通信設備市場も拡大したため、中国のGSM携帯市場の拡大とともに、新興国企業と先進国企業の分業が促進されたことが確認され、理論的枠組みの妥当性が確認された。
- 2011-09-30
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