唐津市における「農地・水・環境保全向上対策」の現状と課題
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概要
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「農地・水・環境保全向上対策」は環境政策と地域政策に加えて、生産政策として、畦畔・水路管理といった共同活動部分を零細・高齢農家や非農業者が中心的に担うことによる「担い手農家」に対する作業的支援や、「担い手農家」がいない地域での農業生産活動に対する支援というかたちで、水田経営所得安定対策の補完的な役割を果たすことが期待されていると考えられ、以上の3つの政策的役割を担っていると捉えることができる。同対策への取組に積極的な佐賀県の中でも、唐津市の取組実績は上位に位置し、(1)従来から道路の草刈り・水路維持等の集落での共同作業に取り組んでいる地域では比較的取り組みやすいが、(2)地域住民との共同活動に関しては住民の参加は現段階では限られていることが明らかになった。また、(3)煩雑な事務処理・手続きの問題が指摘されているものの、(4)子供達との植栽活動や生き物調査を通じての交流や、地域や集落のために農業者と非農業者が話し合いを持つ場が形成されている点は評価されている、ということが明らかになった。さらに、取組継続のために解決すべき課題として、(1)草刈りや水路整備といった共同活動へのより一層の非農業者の参加を促すこと、(2)5年間の同対策が終了したのちも、活動を継続させていくことができるようなサポート体制を整備することに取り組んでいく必要がある。
- 佐賀大学の論文