非整数階微分ランジュバン方程式における拡散特性の解析(非線形問題)
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概要
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生体の細胞近傍における物質の拡散においては,ある観測時間の範囲で拡散係数が減少するような異常拡散と呼ばれる現象が観測されている.これは不均質で複雑な構造をもった媒体中を拡散することにより,障壁によって粒子の運動が阻害されることによって生じる効果と考えられ,非平衡物理の分野などにおいても注目されている現象の一つである.このような拡散過程を記述する方法として,時間微分に非整数階微分を導入した非整数階微分ランジュバン方程式を用いる方法が提案されており,記憶性をもっか時系列データの解析手法などでも応用が試みられている.非整数階微分は,過去からの履歴を積算する演算になっており,記憶性のある現象の記述に適した演算であると考えられている.本論文では,この非整数階微分ランジュバン方程式を対象として,拡散の特徴量である拡散係数の解析解を導出して,初期段階から異常拡散を示す段階に至るまでの拡散係数の挙動について考察する.非整数値の微分階数と拡散係数との関係性及び異常拡散となる漸近特性について示す.
- 2011-12-01
著者
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