器質性視覚障害と心因性視覚障害を合併した1例
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概要
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成人患者において詐病あるいは心因性視覚障害を診断することはしばしば困難であるが、とくに明瞭な眼疾患に伴った場合は難しい。症例は、38歳の女性で、17年前に両眼の網膜剥離手術を受け,1年以上前から左眼視力の低下を自覚し受診した。初診時左眼の最良矯正視力はハードコンタクトレンズ装用下で(0.2)であった。眼底には、過去の網脈絡膜瘢痕が眼底の下方中間部にあるのみで、黄斑部に異常所見はなかった。中心フリッカー値は35Hzであった。その後ピンホール装用にて(0.8)まで矯正視力が一時的に出た。過去の他院での検査結果を取り寄せ、視野や光干渉断層検査、色覚検査を行った。諸検査結果間の不一致から、最近の視力障害は心因性視覚障害によるものと診断した。過去の器質性疾患だけでなく、眼底に異常所見の出にくい器質性疾患を心因性視覚性障害から鑑別するうえで、種々の検査結果を慎重に解釈することが求められる。
- 2012-01-31
著者
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