岩手県西和賀町の合併誕生に至る旧町村の動向と生命行政 : 旧沢内村「老人医療費の10割給付制度」の取扱いを中心に
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概要
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市町村合併に伴う独自制度の廃止・後退はその意義を根本的に問うことになる。本稿の目的は、2005年に誕生した岩手県西和賀町の旧町村(沢内村と湯田町)を研究対象にし、旧沢内村「老人医療費10割給付制度」に焦点を当て、両地域の合併論議におけるその取扱いを分析することによって、(1)それが終焉に至るプロセスを明らかにすることである。(2)市町村合併問題さらに地域医療行財政問題への含意を検討することである。老人医療費10割給付制度は合併協議会や旧湯田町議会において主として財政負担の面から議論され、沢内村長は早々に患者一部負担の導入を余儀なくされ、給付制度のあり方に関して防戦一方になり、また、沢内議会においては村長との議論が著しく不足し、村民が置き去りにされた印象を拭えない。老人医療費10割給付制度の取り扱いに関する分析から次のことが示唆される。(1)独自制度(・政策・サービス)の維持は非常に困難であること。(2)患者一部負担の水準を合理的に決定しにくいこと。(3)むらづくり(生命行政)に位置づけて議論すること。(4)国の生命行政に対する財政的責任が問われていること。
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