看護師の医療安全管理者が認識する医療安全問題
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概要
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小論の目的は、全国の医療安全管理者への調査結果のなかから、医療安全管理者の医療資格によって統計的有意差が見られた内容を報告することにある。小論では特に、看護師が医療安全管理者である場合を、医師が安全管理者である場合と比較し、看護師の医療安全管理者が病院内でかかえている問題に焦点をあて、それらを看護師の立場とその専門性に照らして考察する。看護師が医療安全管理者である場合の方が、医師が医療安全管理者である場合よりも、安全管理業務を遂行する上で、病院内での他の資格の人たちとの関係に困難を感じる傾向がある。インシデント・アクシデントレポートの収集・分析についても、医師より困難を感じており、医師の安全意識について低い評価を下す傾向にある。また、院内の問題点として第一に医療従事者の安全意識が低いことをあげており、医療過誤訴訟が引き起される第一の要因としてICの不徹底をあげる傾向にある。これらの特徴は、看護師の院内での地位を反映しているものと推測されるが、同時に看護の専門的視点から把握されたものであると解釈することができる。看護師の医療安全管理者には、その困難さを解消するためにも明確な権限が付与される必要がある。また、医療安全はたんにリスクマネジメントの視点からだけではなく、医療従事者一患者間の信頼や医療従事者の安全の問題でもあるから、看護の専門的視点が生かされることが望まれる。
- 2010-09-23
著者
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