国際緊急援助活動における救援医療者のメンタルストレスについて

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国際緊急援助活動(IDR)においては,救援医療スタッフは限られた医療資材やマンパワーのもとで,かなり厳しい労働を強いられる.それゆえに,IDRに従事する救援医療スタッフのメンタルヘルスマネジメントは,効果的な救援医療活動のためにもきわめて重要である.しかし,わが国において,このようなメンタルヘルスマネジメントのシステムの構築はまだなされていない.本研究においては,IDRの時期を3つに区分して検討した.派遣決定〜被災地到着までをPeriod I,被災地到着〜撤収までをPeriod II,そして撤収後・帰国〜その後3カ月までをPeriod IIIとした.IDRに参加経験のある148名の医療従事者に,自記式質問紙の郵送による調査を依頼した.回収率は57.4%(85/148)であり,解析に有効な回答は56.0%(83/148)から得られた.この83名の過去にIDRに参加した医療従事者を対象として研究を実施した.Period Iにおいては72.2%,Period IIにおいては75.9%,Period IIIにおいては51.8%の医療従事者が,期間中に何らかのストレスを感じていた.Period IIおよびPeriod IIIにおいては,職務経験が10年以下の医療従事者は,11年以上の経験者に比べて,有意に強いストレスを感じていた.Period IIにおいては,IDRに複数回参加した医療スタッフのほうが,IDRの参加未経験者よりも強いストレスを感じていた.このような結果から,メンタルストレスのレベルや関連する要因は,3つの活動期間において次第に変化していることが判明した.将来のIDRの成功のためにも効果的なストレスマネジメントのシステムを構築することが必要であると考えられた.
2011-11-01

国際緊急援助活動における救援医療者のメンタルストレスについて

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