自立生活の意味をめぐる3つの立場について : 1970年代の議論を中心に
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概要
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本稿の目的は,1970年代における障害者運動の中で自立生活にどのような意味を込められていたかを検証することである。社会福祉研究においては,自立生活について「障害者の自己決定による生活」と理解されているのが一般的であるが,本稿の研究結果はこれとは異なっている。本稿では,自立生活の理解について3つの立場の議論を検証した。第1の立場は,地域社会の変革を自立生活の目的としていた。第2の立場では,管理される収容施設からの脱出と公的な保障による介助制度を求めていた。第3の立場では,障害者の主体形成を重視し,障害者年金の確立と共同生活の場が重要な要求項目であった。これらのそれぞれの立場は家または施設への閉じ込めより自由な生活を求めているという点では,共通している。しかし,理念や自立生活の実現方法においては時に激しく対立した。本稿では,これらの立場の共通点と対立点を抽出し提示した。またそれぞれの立場の自立生活の考え方の意義と限界について述べた。
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