中村蝙蝠翁の詩稿について : 宝暦・明和期の京都における一無名儒者の心情から
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概要
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往来物で有名な中村三近子の次男が蝙蝠翁である。彼は1冊の漢詩集を残している。そこにはまず,家単位での孝の実践につとめる教育者として生きてゆこうとする,儒者としての自己認識がみられ,さらには都市風俗の現実に対して柔軟に関与してゆこうとする立場がくみとれる。また荻生徂徠や伊藤東涯の詩をうけた作品が冒頭に置かれるほか,堂上歌人や僧侶たちとの交流がみられたこともわかる。江戸時代中期には学問の普及が進み,一方では庶民教育の需要も高まる。しかし両者の関連については不明な点が多い。そのことを京都の町儒者の実像を通じてあきらかにすることが本稿の目的である。
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