中学生に対する「時差」単元の学習援助 : 教材の開発とその効果
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概要
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「時差」は中学1年の社会科で扱われる内容である。しかし著者の予備的研究では,大学生でも時差に関する問題を解決できない者が多いことが示されている。本研究は,中学生が時差について理解できるような教材を開発し,実際に授業を行うことでその効果を検討した。開発された教材は,(1)地球の自転に伴う昼夜のでき方の知識と結びつける,(2)北極を中心にして地球を傭鰍的に捉えた図を用いる,(3)その略図を描いて時差を考えるという方略を教える,(4)日付変更線を「時刻の先頭」と意味づける,(5)課題配列を工夫する,などの特徴を持っていた。この教材を用いて13名の中学生に対して90分間の授業を行った。時差に関する事前テストの正答率は約20%であったが,授業1週間後に実施した把持テストでは約90%に上昇した。また生徒がこの授業を面白く理解しやすいものと受け止めたことが,授業後のアンケートならびに感想から示された。
- 日本教授学習心理学会の論文