「社会的ジレンマとしての環境問題」再考 : 公共的モデルとしての社会的ジレンマ・モデル
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概要
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社会的ジレンマは,社会科学の諸領域においてさまざまな環境問題のメカニズムを定式化したモデルとして用いられている。ただし,経済学的アプローチや心理学的アプローチとは異なり,現実の環境問題を根拠にしてモデルの妥当性を問う社会学的アプローチのばあい,それぞれの環境問題が社会的ジレンマであるとはいかなることか,という問いから出発しなければならない。これについて舩橋と海野は,それぞれマクロ的アプローチとミクロ的アプローチと異なるものの,両者とも研究者(観察者)と当事者(行為者)の視点を区別することで答えようとしている。ただし両者とも,社会的ジレンマを経験科学的モデルとしてのみ捉えているがゆえに,対象としている問題状況を社会的ジレンマとして捉えることの妥当性はあくまで研究者のレベルで問われるものとみなしている。しかしながら,現実の社会は制度的(理念的)な実在であり,ゆえにそこにおける問題の解決は規範的解決とならざるをえない。したがって,現実の問題とその解決を社会的ジレンマとその解決として捉えるためには,その妥当性が行為者のレベルで問われうるものでなければならない。つまり,現実の環境問題を対象とする社会学的アプローチにおいては,社会的ジレンマ・モデルは現実の問題解決の場において研究者と行為者のあいだでその妥当性が問われるべき「公共的モデル」であるとみなさなければならない。
- 環境社会学会の論文
- 2007-10-31
著者
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