地域リサイクル・システムにおける自治会の役割 : 埼玉県与野市の事例をもとに
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概要
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本稿は地域リサイクル・システムにおいて自治会がどのような役割を果たしているかを明らかにしようとする。行政のごみ政策には自治会の協力が不可欠だという現実にもかかわらず,自治会の役割を実証的に検討した研究は非常に少ない。そのため,本稿では調査地を限定し,その自治会の活動を網羅的に調査することを通じて,この課題に答えようとした。ただし,自治会のリサイクル活動が果たしている公共的性格を明らかにするために,行政のリサイクル政策という概念と区別して「地域リサイクル・システム」という鍵概念を使用する。調査地にはリサイクルの先進地であり,かつ自治会活動が全域で活発な埼玉県与野市を選んだ。市内の全自治会長への聞き取り調査の結果,自治会は(1)政策決定への参加,(2)住民の監視と注意,(3)住民レベルでのリサイクル・システムの維持管理,(4)新しい問題解決方法の創造など,住民組織として独自の役割を果たしていることが明らかになった。しかし,同時に自治会のリサイクル活動は公共性,正当性,実行力の点で矛盾と限界を抱えていることも指摘した。全国的に自治会の弱体化,空洞化が進むなかで,こうした機能を自治会なしに果たすような新しい地域リサイクル・システムの構築が必要とされている。
- 2000-10-31
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