国公立学校における宗教教育の現状と課題(<特集>宗教の教育と伝承)
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概要
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二〇〇六年十二月に改正施行された教育基本法や、二〇〇八年度に告示された小中学校の学習指導要領の登場とともに、日本の学校での宗教教育を巡る状況はいま新たな段階に入っている。このような状況を踏まえながら、本稿では国公立学校での宗教教育の現状を分析し、その教育の課題を探究したい。まず、これまで論じられてきた宗教的情操の内容と、戦前・戦後の宗教的情操教育をめぐる状況を考察する。その考察によって、国公立の学校では、宗教的情操の涵養を直接に目指す教育は、原理的にも歴史的にも実際的にも困難であることを示す。と同時に、宗教的情操教育に代わりうる教育が実際になされていることを明らかにする。そして、この代替教育は、二つの局面で宗教と関わりえるが、それは従来の宗教教育という枠に収まらないことを示す。最後に、教科における知識教育、とくに社会科における宗教知識教育の内実について検討する。そこから、宗教知識教育と価値形成との問題連関を指摘し、この連関の探究を深めるという課題が横たわっていることを示す。
- 2011-09-30
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