物語言説の中の副詞表現
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
視点のありようを示す指標としての言語形式にはさまざまなものがあるが、副詞に関しては、これまで法副詞や評価の副詞など限定的なものしか扱われてこなかった。これらはGreenbaumの用語では「態度離接詞」と呼ばれるが、本稿ではこの他に主語・様態の付加詞、過去分詞形・現在分詞形などの非定形動詞句や、前置詞句など、従来あまり取り上げられてこなかった副詞的表現にも注目し、それらが語りにおいて果たす役割について考察した。ここでは特にJ. K. RowlingのHarry Potter and the Deathly Hallowsの作品の中で使われている副詞的表現を対象とし、その言説における視点との関係を分析した。この作品は主人公であるHarryの目を通して描かれており、典型的な内的焦点化、すなわちcharacter-focalizer (焦点人物としての登場人物)の視点をとっているため、副詞の使い方にも興味深いものが数多く見られる。それらを観察することにより、物語言説における登場人物たちの外面・内面の描き方と副詞との関係を明らかにすることをめざす。
- 龍谷大学の論文
- 2009-09-30
著者
関連論文
- 物語言説における情報操作の技法
- 物語言説の中の副詞表現
- 指示表現に関する一考察
- 存在と過去時制
- 疑問文とポライトネスに関する一考察
- サスペンスについての一考察
- フィクションにおける情報操作 : 『ユ-ドルフォの謎』の分析
- 物語言説の中の副詞表現
- 情報操作のトリック : サプライズ